2010.02.23 Tuesday
インターフェースについて
FluidTunes
ちょっと面白い、《FluidTunes》というフリーソフトを試してみた。

MacBook等には、ビデオチャットやテレビ会議に使用できるビデオカメラが内蔵されているが、その映像を利用して、iTunesの再生を「手の動き」でコントロールするというソフト。画面に向き合って手を動かすと、曲を選択したり、再生/停止したりできる。軽〜く未来の匂いがして、試すだけなら楽しいソフト。

実際は、手の動きではなく、ビデオカメラに映っているコントラストの高い部分の内、動いているものに反応するようなので、立ち上がったり、画面の前を横切ったりするだけでも反応してしまう。また、環境光の向きによっては、全く反応しない状況もある。そのため現状では、感度の問題、操作性の問題、誤動作の問題で、実用性は0%に近い仕上がりだが、将来的なインターフェースのあり方のヒントとしては、何かを感じる人もいるだろうと思える。

現在、パソコンとその周辺には、いくつかのインターフェースがある。

キーボードを除けば、下記の2つが長年活用されてきたもの。
●複雑な選択肢を操作 → マウスやタブレット、タッチパッドに依ってポインタを動かす
●制限のある単純な選択肢を操作 → 本体の機械的なボタンやスライダー等

そして、まだ発展途上のものとしては、下記のようなものがある。
●中間的複雑性 → 画面を直接触れるもの
●特化用途 → 音声/光/加速度センサーによるコントロール

面白い事に、実は上記全てをAppleは製品ごとに巧みに使い分けていることに気がつく。
Macはポインタ(一部タッチ)、iPodはボタン、iPhoneやiPadはタッチや各種センサー。
その上で、使いやすさに定評があるということは、インターフェースのスペシャリストと評価しても良いだろう。
そんなAppleが、iPhoneやiPadにFlashを搭載しない理由のひとつは、Flashコンテンツ制作に関わった事があれば、明確に理解できる。単純に「操作できなくなる」からだ。

Flash内の操作系にクリックのみを使用しているものは問題無い。

しかし、多くのFlashコンテンツでは、それ以外のユーザー操作の情報として、ポインタの位置を取得したり、動きの速さや方向を判別して活用したりするものも少なくない。これは、Mac上ではマウスボタンを押さずにポインタを動かすだけだが、iPhoneやiPadでは、そもそもポインタという概念が無いため取得できない情報となる。

つまり、Flashプラグインを搭載し、既存のFlashコンテンツが「表示」できるようになっても、数多くの「操作」が許可されない状態となる。こんなことには、AdobeもAppleも気がついているハズなのに、何故かこの点をハッキリと明示していないのには、何か理由があるのだろうか?

この『既存コンテンツ』に対する策があるとすれば、経過措置として、ポインタ操作の無い端末用のFlashでは、Flash内にポインタを強制的に表示し、ユーザーにドラック操作をさせる事くらいだろう。しかし、タッチパネルでのドラッグ操作はOSレベルで別の目的に使用されている訳だから、操作としてはヤヤコシイものになることは避けられそうも無い。

(1) Flashを操作する場合、一旦、Flash内をクリックし、ドラッグ権限をFlashに与える。
(2) Flash内のポインタをドラッグ操作し、Flashコンテンツを思う存分楽しむ。
(3) Webページをスクロールしたい時には、Flash外をクリックして、再度、ドラッグ権限をOSに戻す。

タッチ端末における、リッチな操作感はもはや諦めざるを得ないだろう。
そこまでして、iPhoneでFlashコンテンツを見たいとは、私は思わない。

ここで問題なのはFlashではない。(CPU使用率やバグ云々というのは、また別の問題)
既存Flashコンテンツの多くが『ポインタ操作を前提として作られている』ということが問題なのだ。
つまり、同様にポインタの位置を取得するような操作系を利用したHTML5コンテンツでも、やはり問題となる。

ポインタとタッチ。

インターフェースが異なる以上、同じコンテンツをそのまま表示しても上手くいく訳がない。
故に、パソコンで表示するFlashコンテンツと、タッチ端末で表示するFlashコンテンツは、表現自体、構造自体、操作方法自体をそれぞれに合わせて開発する必要が出てくると云う結論になる。

当然、作業量が圧倒的に増えるのだから、Flash開発者にとっては良いニュースとは云えない。

ジョブズがFlashを搭載したがらないのは、Adobeが嫌いなのではなく、ユーザーのことが好きだからだろう。
ユーザーに操作方法上の混乱を与え、そもそも操作できないFlashの操作方法を無駄に考えさせたり、上質な体験を捨てさせ不快な思いをさせたくないというのが、とても大きな理由なのだろう感じている。

心地良く操作できないのなら、いっそ表示しない方がマシ。
私は、その考え方には賛同できる。
comments
全くそのとおりだと思います。
adobeのFlash戦略はどんな環境でも同じ内容が表示できる、ということを押していますが
インターフェイスが違う端末に同じ内容ではだめでしょう。

しかも、Flashで動的なのは内容そのものではなく、
ウェブ上のインターフェイス部分であることが多いと思います。
さらに使いにくい一方ですね。

Flash制作するものとして悲しいですが、
AjaxかCocoaをいじってみたら案外たのしいものですね。
kuni
2010.02.23 / 07:26